BTCはアービトラージ余地があるのか(2)
前回、BTC/USDマーケットの取引量上位6取引所の取引状況をリアルタイムに観察し、アービトラージ(最安値の取引所で買い、直後に最高値の取引所で売って差益を得ること)が可能なのかを考察しました。
ところが、世界最大取引高を誇るBinanceが法定通貨(USD, JPYなどの国などが発行する通貨)を扱っていなかったため、ドルベッグ仮想通貨であるUSDTとの通貨ペアであるBTC/USDTをBTC/USDに含めて評価していました。
そんな中、先日このUSDTに対する以下のような報道がなされました。この報道後、USDTは最大3%程度下落したようですが、現在では約1%安程度まで戻している模様です。
ブルームバーグ:仮想通貨急落、時価総額100億ドル消失-テザーの損失隠ぺい疑惑で
今後のUSDT価格がどのように変化するかは不明ですが、3%の乖離が存在するとすれば、完全なドルベッグとして捉えることはできないため、USDTの価格差も反映する必要があると考え調査したところ、KrakenがUSDT/USDのリアルタイムレートを配信していることが判りました。
そこで今回は、BinanceのBTC/USDT価格にUSDT/USDの価格を乗じることで、BTC/USDを生成することにしました。また、これにより他の取引所との価格乖離が解消したように見受けられます。
結果
- 2019/04/30 15:00 JST頃
- ワークシート下部にKrakenの配信するUSDT/USDのリアルタイム配信項目を追加し、BTC/USDTの最終売買価格と気配値に乗じています。
- Bitfinexの価格帯が他の取引所と乖離していますが、現在のところ原因は不明です(実際の取引所でも同一価格を提示していました)。
- 結果として、6%弱のアービトラージ差益が存在していることが表示されています。
各取引所の配信するマーケットレート配信をExcel上でリアルタイムに分析することで、レート変換なども容易に行えるため、各取引所間のゆがみなど、仮想通貨マーケットの側面を様々な視点で観察することが可能になるのではないでしょうか。